オードリー(このか/せっちゃん)

このか
「どうも〜。
 オードリーやで〜。
 よろしくな〜?」

せっちゃん
(のそ……のそ……)

このか
「ちょっとね、相方の到着が遅れてるけども、
 漫才やらせてもらおうかなー、思てるんよ」

せっちゃん
「……神鳴流奥義!斬岩剣!!」

このか
「何や開始早々に斬られてもうたわけやけど、
 ウチ、この夏、ちょっと行ってみたいところがあるんよ」

せっちゃん
「はい」

このか
「コミケって言うんやけどね、知ってはります?
 東京ビッグサイトでやってるんやけども」

せっちゃん
「営業で行ったことがあります」

このか
「お渡し会とかイベントを営業言うたらアカンよ。
 まぁね、企業ブースでは声優さんのお渡し会とかも
 あったりするんやけど、
 基本はね、一般の人による同人誌の即売会なんよ」

せっちゃん
「コミケは人混みが凄いですね」

このか
「せやね。
 好きな人には一大イベントやから、
 全国からぎょうさん人が来はるんよ」

せっちゃん
「護衛という立場からすれば、
 人混みはなるべく避けて欲しいですね」

このか
「珍しくまともなこと言うなぁ」

せっちゃん
「この命、例え失っても、お護り致します!!」

このか
「……唐突に叫ばんといてや。
 びっくりするやんか」

せっちゃん
「危険はいつどこに潜んでいるかわかりませんからね。
 人混みともなればその可能性は高まります」

このか
「可能性がゼロとは言わんけども、
 そんなん言い出したらどこにも行かれへんし、何も出来ひんやん」

せっちゃん
「お嬢様育ちの我儘が出ましたね…」

このか
「これくらい我儘でも何でもないやろ。
 それでね、出展する側の人が、
 思い思いのことを本やデータにまとめて、
 自分の『好き』を表現してる場なんよ」

せっちゃん
「ふむ」

このか
「一般に流通してる本とは違って
 めっちゃくだらなくてニッチな研究をしてる本やったり、
 オリジナルや二次創作を問わず、
 漫画や小説なんかが、こう、わーっ、と集まってな、
 買いに行く人もそういうのを楽しみにしてる、
 ってうイベントなんやけど」

せっちゃん
「そうなんですね。
 では、私のイラストも本にまとめてみましょうか」

このか
「それがいちばん危険やないの!」

せっちゃん
「そんなことありませんよ」

このか
「あの赤いのが『艶』だなんて誰もわからんやろ!」

せっちゃん
「心無い人には
 『ゆうちゃんに赤いペンを持たせるな』とか言われてました」

このか
「まっとうな意見やわ」

せっちゃん
「オファーする方が悪いと思いませんか」

このか
「開き直らんの!
 完全にね、これ、『画伯』と呼ばれてるのを
 そのまま受け取ってしまってるパターンやねぇ」

せっちゃん
「絵が上手い以外の意味があるんですか」

このか
「この場合は真逆の意味やねぇ」

せっちゃん
「なるほど…。
 お嬢様、そういった隠語のような言葉の使い方はよろしくないかと」

このか
「またまともなこと言って。
 せっちゃんがそんなやったら
 オードリーを模した漫才が成り立たんやん。
 もうやっとれんわ」

せっちゃん
「お嬢様、それは本気で仰っているのですか」

このか
「いや、本気で言うとったらこんなに楽しく漫才やってへんやろ」

 
このか/せっちゃん
「へへへへへ」

このか
「どうもありがとな〜」

せっちゃん
「バーイ」