三匹の子豚

ハルナ
「『3匹の子豚』
 昔々、あるところに豚の一家が暮らしていました。
 母親豚と3匹の子豚は幸せな日々を送っていましたが、
 ある日、母親豚が言いました。
 『あなたたちも大きくなったことだし、
  そろそろ自分の家を持って暮らしなさい』」

  五月
「わかりました、お母さん」

  風香
「よーっし!
 早速家を作るぞーっ!!」

  亜子
「素敵な家を作るで〜」

  ハルナ
「こうして、3匹の子豚たちは自分たちの家を作ることとなりました。
 程なくして、それぞれの家が出来上がります」

  風香
「よし、完成!」

  ハルナ
「最初に完成したのは長男の家。
 わらによる簡素な造りです」

  風香
「家なんてさ、とりあえずは雨風凌げればいいんだから
 これで十分だよね〜。
 中の空間はたっぷりとってあるし、快適快適^^」

  ハルナ
「続いて完成したのは次男の家。
 木の枝で造られています」

  亜子
「本物のログハウスとはいかんかったけど、
 それっぽく出来たやろ?
 ウチ、こういうのに憧れてたんよ^^」

  ハルナ
「長男、次男の家が完成してからしばらくして、
 ようやく三男の家が完成しました。
 レンガ造りの立派な家です」

  風香
「ようやく五月の家も出来上がったね」

  亜子
「めちゃめちゃ時間かかったなぁ」

  五月
「こういうのはやっぱり土台からちゃんと造らないと…」

  風香
「ふ〜ん。
 いかにも五月らしいなぁ」

  亜子
「ハハハ。
 ほんま、そうやなぁ^^」

ハルナ
「ようやく全員の家が完成し、兄弟の会話も弾みます。
 と、そこに、腹を空かせた狼が迷いこんできました」

  ザジ
「(ぐぅ〜……)
 空腹…。
 ん?
 豚が……3匹………居る……」

  風香
「うわぁ、狼だ!」

  亜子
「アカン、家の中に逃げな!」

  五月
「た、大変……」

  ハルナ
「3匹の子豚たちは、急いでそれぞれの家に飛び込み、
 内側からドアに鍵をかけます。
 狼は3軒並んだ家にのそり、のそりと近寄ると、
 わらで造られた長男の家の前に立ちました」

  ザジ
「豚さん…。
 ドア、開けて……」

  風香
「や、ややや、嫌だよっ!
 ボクのことを食べるつもりなんだろう!?
 そんなヤツのために開けるわけないじゃないかっ!!」

  ザジ
「そう…。
 それは残念……」

  ハルナ
「狼の言葉に長男が少しホッとしたその刹那、
 周囲の空気が変わります」

  ザジ
「……Flamma」

  ハルナ
「狼がそう呟くと、その指先から巨大な炎が放たれました。
 『ゴオオッ!!』
 炎はわらで造られた風香の家を一瞬で包み、燃やし尽くしてしまいました。
 そしてその燃えカスの中からは(以下自粛)」

  亜子
「ひ、ひえええっ…」

  五月
「( ゚д゚)」

  ザジ
「腹三分目……」

  ハルナ
「幾分満足した表情になった狼が、
 今度は隣に建てられた木の枝造りの家の前にやって来ました」

  ザジ
「豚さん…。
 ドア開けt」

  亜子
「嫌やっ!!
 開けるわけないやろっ!!」

  ハルナ
「亜子は狼の言葉に食い気味で返します」

  亜子
(せやけど、ウチの家かて木ぃで出来とるし、
 あんな炎出されたら終わりや……)

  ザジ
「そう…。
 それは残念……」

   亜子
(アカン…。
 この流れ……。
 完全に天丼や………。
 炎出されて終わりやで…………)

  ハルナ
「関西人の血か、自分が迎えんとする数秒後の未来を
 お笑いで言うところの天丼と結論づけた次男の耳に、
 先ほどとは違う言葉が届きました」

  ザジ
「……Tonitrua」

  亜子
「……!!
 天丼やない…?
 た、助かるかも……!?」

  ハルナ
「この流れで助かると思う方がどうかしています。
 狼が言葉を発するのと同時に天空を指さすと、
 一条の雷が木の枝造りの家に落ちました。
 『ズドォォォン!!』」

  亜子
「そらそうやわな……」

  ハルナ
「狼により落とされた雷は木の枝造りの家を黒焦げにしてしまいました。
 もちろん、次男が無事であるハズがありません」

  五月
「( ゚д゚)」

  ザジ
「腹六分目…」

  ハルナ
「空腹が満たされてきたからか、
 心なしか狼の目に光が宿りだしたように思えます。
 子豚兄弟の前に現れた時とは明らかに異なるしっかしとした足取りで、
 狼は更に隣に建てられた、レンガ造りの家の前にやってきました」

  ザジ
「豚さん…。
 ドア、開けて……」

  五月
「ごめんなさい…。
 それは出来ません…」

  ザジ
「そう…。
 それは残念……」

  五月
(基礎からしっかり造ったから、火と雷なら大丈夫だとは思うけど……)

  ハルナ
「長男、次男の家では抗えなかった狼の魔法でしたが、
 三男の家はレンガ造りです。
 耐えられるかも…と希望を抱くのも無理はありません」

  ザジ
「……Terraemotus」

  ハルナ
「『……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
 J○J○ではありません。
 地鳴りです。
 狼が呟くと、轟音とともに地面が激しく揺れだしました」

  五月
「わ、わわわわわわわ………」

  ハルナ
「縦に横に、激しく地面が揺さぶられた結果、
 三男が時間をかけてしっかりと造ったレンガの家も、
 数分と持たずに崩壊してしまいました。
 そして、その時を待っていたかのように、次第に揺れも収まっていきます」

  ザジ
「……こんにちは^^」

  ハルナ
「レンガの家が壊れ、その残骸の中、
 身体ひとつとなったしまった三男の目に飛び込んできたのは、
 狼の笑顔でした」

  五月
(目が…笑ってません………)

  ハルナ
「必死の逃走を試みる三男でしたが、
 既に2匹の子豚を平らげている狼です。
 その脚も相応に回復しています。
 瞬く間に捉えられ……」

  ザジ
「満腹」

  ハルナ
「こうして、腹を満たした狼はその一帯から去って行きました。
 皆さん、酷い話だとお思いでしょう。
 救いが無いとお嘆きでしょう。
 しかし、です。
 一家で暮らしていたままであれば
 真っ先に餌食になっていたであろう母親豚が生き存えております。
 狼に気付かれることなく、
 当人は危機が迫っていたことを知ることもなく、
 上手いことやり過ごしているのです。
 セーフです。
 種の存続に成功したのですから、DAISUKE的にもオールOKです。
 『そろそろ自分の家を持って暮らしなさい』は大ファインプレイでした。
 ここに、「一極集中は危険」との教訓が得られるのです。
 皆さんも、大切なデータなどは分散させて保存しておきましょうね^^
 それでは、また」