姥捨て山
ネギ
「『姥捨て山』。
昔々の、とある国でのお話です。
お年寄りを恨めしく思っていたその国の王様は、
ある日、国中にこんなお触れを出しました」
さよ
「わたしは15歳で死んじゃったのにたくさん生きてズルいですー。
60歳を過ぎた人はみーんな国でいちばんの山に移り住んでくださ〜い。
たくさん生きた分を、不便な山暮らしで相殺ですー」
朝倉
「さよちゃん、そんな滅茶苦茶な」
さよ
「さよちゃんじゃなくて王様ですー。
このお触れは絶対ですー」
ネギ
「お触れを守らない者の家族にはたいそうな罰金が課せられることになり、
国民は渋々ながら従うこととしました」
朝倉
「さよちゃんが突然あんなこと言い出して…。
何かゴメンね、那波…」
ちづ姉
「綺麗な星空が観られそうだし、山暮らしも悪くないかなぁ、って思うけど、
キャスティングについては思うところがあるわよね^^」
朝倉
「その笑顔、怖いって…」
ネギ
「こうして、国中のお年寄りが街から居なくなり、
とある国はゆとり世代が中枢を占めることとなりました。
そんな折のことです」
超
「フフフ…。
隣の国が政策によりふわっとした感じになっているようだ…。
今こそ侵攻して私の支配下に置くヨ」
ネギ
「隣の国の国王・超鈴音が、とある国への侵攻を企てます」
さよ
「大変ですー。
隣の国が攻め込んで来ました〜。
国民の皆さんは頑張って戦ってくださーい」
ネギ
「若い世代が中心となった国造りがヘンなところで奏功したか、
突然の武力侵攻に対してとある国は必死の抵抗を見せます」
超
「うぬぬ…。
このまま力押しで勝ったとしても消耗が激しくて再興に時間がかかり過ぎるアル…。
さりとてこちらから仕掛けた戦。
先に退いてはメンツに関わるネ…」
ネギ
「予想外の苦戦に超鈴音は熟考し、その末に、
両国の消耗を避け、且つ、自国のメンツを保つアイデアを思いつきます」
超
「とある国の国王よ。
諸君らの健闘に敬意を表し、我々から提案をするアル!」
ネギ
「超鈴音の提案はこうでした。
『これより3つの問題を諸君らに出す。
丸1日の期限の間にそのすべてに答えられた場合、我々は侵攻を取りやめることを約束しよう。
しかし1つでも答えられなかった場合は、抵抗をやめ、即時、国を明け渡すべし』」
さよ
「争いごとはしないで済むに越したことはないですし…。
わかりましたぁ、その提案を受け入れますぅ〜」
朝倉
「ちょ、さよちゃん。
問題の内容も聞かないでそんなの呑んじゃ駄目じゃなーい」
さよ
「あーっ」
ネギ
「案の定。
超鈴音から出された問題は、バブル期を体感していないと答えられないものでした。
とある国の若者たちには、問題が何を言ってるのかさえサッパリです」
さよ
「え〜ん…。
全然わかりませーん…」
朝倉
「さよちゃん、幽霊なんだからその時期も過ごして来たでしょ?
わからないの?」
さよ
「私、地縛霊ですから、身の回りのことしか把握出来なくて〜…」
朝倉
「あちゃー…」
ネギ
「このままでは国が乗っ取られてしまいます。
危機感に、王様を始めすっかり沈み込んでしまった国民でしたが…」
朝倉
「あ、そうだ!」
ネギ
「何かを思いついた朝倉さんがアーティファクトと人形を取り出します」
朝倉
「さよちゃん!」
さよ
「?」
ネギ
「朝倉さんが王様に耳打ちをすると、王様の表情がぱあっと明るくなりました」
さよ
「なるほど〜。
そのテがありましたか〜」
ネギ
「王様はそそくさと人形に『入り』、更に渡鴉の人見に乗ると、
一目散に国いちばんの山へと飛んで行きました」
ちづ姉
「あら……。
こんな明るいうちから流れ星が見えるかと思ったら……」
さよ
「那波さーん。
酷いことをしてごめんなさーい…。
助けて欲しいんですぅ〜」
ネギ
「そうです。
朝倉さんは、昭和を生き抜いた時代の証人なら問題に答えられるハズ、と
思いついたのです」
ちづ姉
「……なるほどね、事情はわかったわ。
キャスティングは理解出來ないけれど^^」
さよ
「それで、あのー…答えは……」
ちづ姉
「大丈夫、正解出来るわよ。
キャスティングには納得してないけれど^^
超
「くっ…。
ググッてもヒットしない情報を体感した者が居たとは……。
侮ってしまっていたみたいネ…。
しかし約束は約束、ここは退くアルヨ……」
ネギ
「こうして、とある国は侵略の危機を乗り切り、
このことでお年寄りの価値を再認識した王様はお触れを撤回、
いろんな年代が分け隔てなく楽しく暮らす国へと戻りましたとさ。
めでたしめでたし」
ちづ姉
「キャスティングには(以下略)」