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富山 1-0 讃岐
J3/第11節
(22/06/05:富山)
DAZN



富山スタメン

______川西__吉平______
_____姫野____シルバ____
安藤______碓井______松本
____鹿山__林堂__大畑____
________山田________



讃岐スタメン

________松本孝_______
_____吉井____重松_____
臼井____西本__鯰田____川﨑
___長谷川__遠藤__伊従____
________高橋________



風の影響か、前半は富山、後半は讃岐が攻勢を強めた試合。
結果を分けたのは敵陣でのプレーと奪った直後のパスの質か。
富山がカウンターの一刺しを守り切って勝利。



富山。
立ち上がりはFW、IH、WB、時にCBのフォローまでが重なって
サイドに運んでからの攻撃が出せていたが、
時間の経過と共に讃岐に対応されると
効果的なボールの前進もなかなか出来なくなってしまった。
3+1(碓井)で始めていたビルドアップを
3+2(碓井+シルバor姫野or川西)や4+1(碓井が降りて4+シルバ)のように
工夫を施すも、
試合後のフラッシュインタビューで吉平が口にしたように
不本意な出来となってしまった。

風下に回った後半は、前に出てくる讃岐を受ける形となったが、
結果としてはこれが奏功した。
中盤で引っ掛けてシルバなり川西なりに預ければ、
目の前には彼らがドリブルで引き裂いていけるスペースが広がっており、
これに安藤や姫野が走力を活かしてのサポートを行い
うちひとつをゴールに結びつけることに成功。

おそらくは立ち上がりのような時間を長くして、
サイド攻撃と川西の創造性で点を奪っていくサッカーを志向しているのだろうけど、
そうはならなかった試合展開の中で
きっちり守り切っての勝ち点3を手にしたことは、
上位を争うチームとの拮抗するであろう試合に向けて
いいイメージに繋がるのではないか。






讃岐。
前半は守備に追われる時間が長くなったものの、
相手にさほど好機は作らせなかったし、
富山のところで書いたように相手の前進を苦しませもした。
また、奪ったあとにサイド奥を早く突く意識も共有されていて、
前線でもうひと粘り出来れば…とか、
落としたボールと押し上げた選手とがズレなければ…といった場面を作れていた。

攻勢に出た後半で露見したのは、
…いや、結局は前半のサイド奥を突こうという意識の共有が実らなかったことも同じで、
ハーフウェーラインを越えて崩しにかかろうというところで出る、
技術的なミス、意図のズレが問題で、
加えて、ロストした瞬間の圧力で富山を潰し続け切れなかったことが、
被カウンターからの失点へと繋がってしまった。

前節の不甲斐ない試合から立て直していい試合が出来たことは良かった。
その要因としては、
自陣で構えてる時のサイド守備での人数合わせや個々の球際の奮闘、
相手の寄せ方を見てのビルドアップのパターン選択による前進(※)が挙げられる。
この2点についてはこのクオリティをスタンダードにして、
次節以降、この試合で問題となったところに取り組み、そして克服して行きたい。


いい試合が出来きても、
連敗街道が始まってしまうと
自信を失っていくし、
やっていることへの疑問も生じてしまう。
鶏卵な話ではあるんだけど、
早く勝利を手にして好循環に持ち込みたいね…。




西村監督。
何度か書いてるけど
「ボールを前に運ぶのは戦術でやる」の部分については成果が見えてきていて、
そこは凄く評価してます。
同時に、次の課題が見えてきているので、
この流れのまま引き続きいい構築をお願いしたい。
西野をどのタイミングで戻すのかにも注目してます。
(今日普通にスタメンだと思ってた)
(ビルドアップを見た時に長谷川左CBは機能してたと思うので
 この試合単体で考えた時にはいい選択だったけど)

鯰田。
後半、自分の中で通せると思ったパスコースがずっと見えていたからだと思うんだけど、
ちょっと中央で縦に急ぎ過ぎかなと感じた。
攻撃が単調になってしまうこともあるし、
引っ掛かった時に相手のストロングが出しやすい状況が生まれるということも加味して
(シルバと川西がドリブルを始められる状況は生みたくない)
時にサイドに振る選択肢を持っても良かったかな、と。
単に必殺のスルーパスが出せる選手じゃなくて、
コンダクターになって試合を支配して欲しい。

青戸。
ちょっと試合に入れてなかった印象。
吉井の台頭と、重松が試合に絡んでくるようになったこととで
一時ほどのスタメン確定感は無い。
焦ってもしょうがないけど、次、頑張ろう。



(※)讃岐のビルドアップについて
この試合ではDHが降りずに3+2ないし3+1(鯰田の場合が多かった)で
富山の5-1-2-2(3-3-2-2スタートがWBが下がってこの形になる)に対して
今季いちばん、オートマティックに前進が図れていたので、
ちょっと詳しく書いてみます。

今日のパターンのポイントは、
富山の5-1-2-2の「2-2」を上手く動かしながら、
讃岐の左(右)CBに複数の選択肢を与えるところと、
富山が5-1-2-2化することで
自分たちのWBが浮きやすくなっていることを理解しているところ。
(最終ラインに吸収された富山WBから讃岐WBまでは距離があって捕まえられない)

この2点を前提に、讃岐の左サイドを例にします。

長谷川、遠藤、伊従(、高橋)でのボール回の中、
左CBの長谷川がボールを持ったタイミングで
富山「2-2」の右FW(吉平)の意識が
長谷川からボランチ(鯰田、西本)へのコースを切ることに傾いていることが
前進へのスイッチ。

ここで長谷川が富山「2-2」の右IH(シルバ)の状況を見て、
以下の3つからプレーを選択。
・やり直し(遠藤、高橋へ戻す)
・左WB臼井へ(基本的にはこの選択肢になる)
・左シャドー吉井へ縦パス(このパスが出せる状況であるのは、シルバのポジショニングがいちばんマズい)

左CB長谷川から左WB臼井に入った場合、
臼井は自身へのパスで動かされた富山の選手の状況を見つつ
以下の3つからプレーを選択。
・やり直しの緩いパスを長谷川、高橋へ戻す
・真横にサポートに来た西本or鯰田に短く出してそこから縦パスor右サイドへ展開
・長谷川へ強めに戻してそこから縦パスor右サイドへ展開
・左シャドー吉井へ斜めに前進パス

左CB長谷川から左シャドー吉井に入った場合、
吉井は自身へのパスで動かされた富山の選手の状況を見つつ
以下のプレーから選択
・斜め後方の左WB臼井に落とす
・左CB長谷川に強く真っ直ぐ落としてそこからの展開を促す
・松本孝とのコンビネーション
・自身でキープorターン

こんな感じのボールの動かし方が、
富山「2-2」の状況を見ながら自動的に選択出来ていました。
「何でそのパスを選んだ?」というものは皆無と言ってよかったのでは。

相手の守り方によって選択肢の持ち方が変わっては来ますが、
こうして「相手を動かしてズレを作り、そこから前進していく」というのが
ビルドアップの基本的な考え方で、
これをチームで形作ってやろうというのは
20年、21年のチームには無かったこと。

次の段階として、
パスの質の問題や相手が対応してきた時に上回れるのかという話が出てきますけど、
「ボールを前に運ぶのは戦術でやる」が
きちんと積み上がってきていることの具体例として。




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