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名古屋 2−2 神戸
J1/第11節
(23/05/03:豊田)
DAZN



名古屋スタメン

_______ユンカー_______
____永井______マテウス__
内田宅___米本__稲垣____森下
____藤井__中谷__野上____
______ランゲラック______



神戸スタメン

汰木______大迫______武藤
_____井出____山口_____
________齊藤________
初瀬_トゥーレル__山川____酒井
________前川________



勝ち点差3で首位・神戸を追う3位・名古屋が、ホームで迎える6ptsマッチ。
立ち上がりから全開の神戸が名古屋を呑み込んだかに思えたが、
試合終了の笛は劇的な同点弾の後となった。



名古屋。
神戸の最初からの全開具合と、大迫と武藤の強烈ぶりが
彼らの想定以上だったのではないかと思う。
押し込まれ、早々に先制され、
考えうる中でももっとも苦しい展開になってしまった。

神戸のハイプレスの破壊力が凄まじいのは確かだけど、
それを抜きにしても、
ボールを持たされてしまうと、
ビルドアップにおいて
そこまで良いものを構築出来ているわけではないことが露呈。

唯一、その攻撃力を活かすために普段とは逆サイドの右に配された森下は
(チームが彼にボールを集めてたこともあるが)
4−4−2でセットする神戸のSH(汰木)とSB(初瀬)の間で受けて、
そこから個人による打開を披露していたが…。

風向きが変わってきたのはやはり62分の3枚替え。
前線で身体を張れる酒井宣福の存在は
神戸守備陣の意識をより中央且つ後方に集めることに寄与し、
よって、サイドのより高い位置へボールを運ぶことが少しだけラクになった。
この影響もあって左WBに入った和泉はロストせずにボールを前進させていたし、
DHに入った長澤は求められた散らし役としての仕事をまっとうした。

個人の能力の高さは持っているチームなので、
仕掛ける場所にまで運べさえすれば、
あとは首位チーム相手にでも何かを起こせる可能性が出てくる。

逆説的に、
現在のベストメンバーである今日のスタメンにおいての、
ボールの前進のさせ方について、
まだまだブラッシュアップが必要なことが証明されたわけだが、
これらは、名古屋をリスペクトして引いてくる下位チームとの試合で
磨かれていくことになるのかな…。

個人的には、ユンカーのワンタッチプレーは良いアクセントになると思うので、
引いた相手に対しては
彼をシャドーに置いてトップ、シャドーの相方、ボランチと
フリック等に反応出来る選手の数を増やしてみるのが面白いと思う。
少し古い話になるが、
ミシャが指揮する広島でプレーしていた時の柏木陽介のイメージ。
(この際の1トップは別に酒井宣福でなくとも良い。
 ちょうど例に出した広島の1トップが佐藤寿人であったように、
 相手CBを背負えるとか強いとかじゃなくて、
 ユンカーがつけるアクセントに反応出来ることこそが大事)






神戸。
ドイツ帰りの選手たちを中心に個の能力が高いことはもちろん、
吉田監督が選手の長所を上手く組み合わせたいいチームを作っていることが
よくわかる試合だった。
この試合を含めた11試合を終えて
7勝2分2敗の成績で首位に立っているのも納得。

一応、スタートは4−3−3ということだけど、
攻撃時には右肩上がりの4−2−3−1、
守備時には左IHを前に出した4−4−2セットが基本となる。

右SB酒井を前に押し出す3バック状態の攻撃時には、
酒井の後方をカバーすることを念頭に右IH山口が2DHの右を担当するかのように振る舞う。
左IH井出は山口が重心を後ろに置くことで2列目に広がるスペース及び最前線を、
トップ下として走り回る。
その動きは大迫、武藤に呼応したもので
言ってみれば主体は彼には無いのだが、
ボールを持ってなんぼみたいな選手だった彼が
この献身的な役割を全力でまっとうしている姿には
ポジティブな驚きがあった。
井出が動き回るため、
左WGの汰木の周辺には彼の技巧的なドリブルを披露するためのスペースがぽっかり。
右からサイドチェンジのボールが送られてくれば、
次の瞬間、彼が主役となる。

前述したように、守備時には左IHを前にだした4−4−2でセット。
この試合では追い込み方をチームで工夫といった感じよりも
とにかく圧倒的な強度でハイプレスを敢行。
(おそらく他の試合でもそうだろうね)
伝統的に湘南とか、ここ何年かの横浜FMとか、
ハイプレスの強度が語られるチームは幾つかあるけど、
組織的な土台の上に強度が発揮されるそれらのチームとは異なり、
個人の持つ強度が成立させているのが神戸のハイプレス。
特に大迫、武藤、山口、齊藤は強烈の一言。
やはり欧州での経験が大きいのかしら…。
J1の半分でもいいからこのレベルに達することが出来たら、
Jリーグは大幅なレベルアップを果たすと思う。

この試合では最後に追いつかれてしまったけど、
段階を踏んで受け止める力を強くした吉田采配は妥当だったし、
大迫と武藤が怪我無くシーズンを過ごせれば、
戴冠しても全然おかしくないでしょう。




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