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奈良 4-3 讃岐
J3/第26節
(25/09/06:ロートフィールド)
DAZN



奈良スタメン

________田村翔_______
岡田優_____中島_____田村亮
______堀内__神垣______
イェチャン_澤田__鈴木____田頭
________岡田慎_______



讃岐スタメン

______大野__川西______
牧山______________道丸
_____長谷川__河上______
上野____附木__井林____内田
________飯田________



左サイドの可変と前4枚がいずれもフィニッシャーになることが特徴の奈良と、
カウンターで前に出ていく鋭さを見せていた讃岐。
後半に大きくスコアが動いた一戦はホームの奈良が辛くも逃げ切りに成功した。



奈良。
左SBのイェチャンを前に押し出しての「3+2」スタートで、
2DHの堀内、神垣の配球能力を活かしながら相手陣内にボールを運び、
左サイドでのイェチャンの左足クロス、
右サイドで張っている田村亮介の仕掛けや内に外に田村亮をサポートする田頭からのボールに、
岡田優、田村翔、中島、時にはボランチの1枚までもが飛び込んでいく形で好機を創出。
右からのボールには岡田優が、左からのボールには田村亮が、
それぞれファーサイドでフィニッシャーになれるのは、
田村翔が「ザ・CF」というタイプではないだけに大きいように思う。
(トップ下からゴール前に飛び込む中島も、どちらかと言えばラストパスを出すタイプの選手だ)
また、どの辺りまでが前任の中田監督から引き継いだ志向なのかはわからないが、
基本的にはボールを握りたいという意志があり、
交代でSBに入る選手がMFだったことや
途中からボランチに入った森田の精力的な顔出しから、
そのための人選が為されてるように感じた。

もしかしたら、このボールを握る意識(とその精度)が、
後半の互いに間延びした試合展開の中で、
勝負を分けたポイントだったのかも知れない。


相手のビルドアップに対しては、トップ下の中島を前に出しての4-4-2でセット。
状況に応じてプレス開始位置を変えながら守っていて、
最前線の2枚と両SHの前への圧力はなかなか強烈な反面、
SHの背中に立つ選手への寄せが甘く、
度々そこで起点を作られていたように見えた。
もちろん相手のフォーメーション次第ではあるけれど、
今日の讃岐相手であれば、
あそこはSBが縦に潰しに出ていかなくてはいけないと思う。






讃岐。
中断明けから採用されて固まってきた感のある、
オーソドックスな4-4-2による縦に速い志向のサッカー。

奈良のハイプレスに対して河上がCB間に降りる形もスムーズだったし、
それでもなお前進に苦しんだことで今日は川西が3列目まで降りてくる回数も多かった。
出来れば川西は最前線に残しておきたいところだが、
ボールが前に運べなければ攻撃にならないわけで、
彼が降りる判断が「もうどうにもならないくらい奈良のプレスを抜け出せない」となる前に下され、
決定的なショートカウンターを浴びて前半のうちに試合が壊されなかったことは評価すべきだろう。


一方の守備面では、奈良の左サイドへの対応が終始気になった。
4-2-3-1から左SBイェチャンを前に出して「3+2」へと変化する奈良に対して、
イェチャンの捕まえ方が中途半端で、
彼にボールが渡る→
讃岐守備陣の注意が彼に向く→
1つ中のレーンに入って第2のCFと化す岡田優への意識が弱まる
…というのがずっと繰り返されていた。
左HV化する澤田の持ち上がりは許容して、
右SHの西丸がずっとイェチャンに張り付くのが良かったのではないかと思うのだが…。
前半を無失点でしのげたことで却って手当すべきとの目が向かなくなってしまったか…?


そうした盤上の問題とは別にある、
試合の流れについての反省点は後半に集中して起きていた。

後半開始早々、47分の川西による先制ゴールまでは良かったが、
58分の相手の最初の選手交代から、直後の60分に同点弾を浴びてしまった。
岡田優によるあのゴールは非常に質が高いものだと思うが、
ともあれ、これが1つ目の反省点。
選手交代直後に得点出来ればチーム全体が「行ける」という雰囲気になるわけで、
相手にそれを許してしまったのは悔やまれるところ。
(また、1失点目の少し前、52分辺りの最後尾での一連のパス回しが顕著で、
 その場面では堀内のミドルシュートをGK飯田が好セーブしてくれたことで難を逃れたのだけど、
 この試合では井林と内田がパスの精度を欠いていて、
 ちょっと危うい雰囲気があったのは気になる点だった)
(井林は、結局足が持たなくて80分に代わったようで、
 終わってみればの話にはなるけど、早めに代えていたら結果は違っていたかも知れない)
(DAZNでは足を気にしてる場面が映っていなかったのだけど、
 現地組の讃岐サポのツイートにより試合後に交代の実情を知った)

交代を用意していながら相手のCKということで一旦待つ判断は常識的なものだけど、
その待った流れの中で2失点目を喫してしまったこと及びその直接的な原因のクリア未遂が2つ目の反省点で、
逆転された勢いで立て続けの3失点目を喫したのが3つ目の反省点。

やはり、得点にしろ失点にしろ、スコアが動いた直後は、
5分でいいから出力を上げて、
相手に対し「反撃させない」「乗せない」という姿勢を突きつけなければいけない。

4つ目の反省点となる4失点目もこの文脈にあるもので、
点差を詰めた直後に引き離されるというのは、士気を削いでしまう。
(この試合の讃岐は削がれずに縋ってみせたけれど)

4失点目のきっかけとなった縦パスも含め、
メンバーが代わるごとにパスの繋がりが悪くなった点は奈良と対称的で、
述べてきた反省点を踏まえれば、
負けるべくして負けた試合だったと捉えられる。

金監督体制になり、得点出来るという雰囲気は醸成されて来た。
しかし、締めるところをきちんと締めて失点を止めないことには、
勝つための試合運びは出来ない。
「1失点は許容範囲内」と言えども、
失い方、失うタイミングというものがある。

得点への意識、取り組みは継続しつつ、
次に着手すべき点はここだろう。




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