menu>football>match
千葉 1-0 徳島
J1昇格プレーオフ/F
(25/12/13:フクダ)
DAZN
千葉スタメン
____ジュニオ__石川______
イサカ_____________杉山
__エドゥアルド__田口______
日高____河野__鈴木大___高橋
________若原________
徳島スタメン
______アンデルソン______
_____渡 ___バルセロス___
高木____児玉_鹿沼_エウシーニョ
___青木駿__山田__山越____
________田中________
堅い展開が予想された中、サイドの噛み合わせに関する駆け引きから
両ゴール前への迫力ある攻撃が多く観られた好ゲームは、
均衡を打ち破った千葉が見事な試合運びで17年ぶりのJ1復帰を決めた。
千葉。
元々サイド攻撃の志向が高いチームのようで、
2(4)+2のビルドアップからサイドの高い位置へ預けてからの、
特に右サイドでの崩しの形にはかなり見るものがあった。
(逆足SHの杉山、内外自在の高橋を出し手として田口がサポート)
また、ビルドアップを徳島がケアしてきた際の石川の動きも秀逸。
タイミングの良い顔出しで列飛ばしのパスを引き出して中央で起点となり、
そこからサイドへ展開していくさまには知性を感じさせた。
徳島の「3+2」ビルドアップに対しては逆サイドのSHを前に押し出すことで
前3枚の人数揃えを敢行。
牽制よりは奪いに行く意識寄りの対峙で徳島3バックを苦しめた。
(もちろん、徳島2DHは自分たちの2DHで監視)
また、噛み合わせ上、フリーになり易い徳島WBには
基本的にはSBが縦スライドを厭わないことで対応。
徳島の、WB活用からの前進を大幅に制限し、
引き出されたSBのウラに供給されたボールにはCBがしっかりとカバーリング…と、
十分な対策が出来ていたように思う。
全体的に徳島のボール保持には食いつくので、
剥がされての疑似カウンターは覚悟の上という感じなんだけど、
この日の千葉が見事だったのは全員が全員、守備への戻りが速かったこと。
石川のサイドチェンジ、高橋のピンポイントクロスにジュニオの強烈ヘッドと
素晴らしいプレーが3つ続いての先制点からの試合運びも巧みだった。
まず、徳島のWBに対してはSHが最終ラインに吸収されることも許容してデートする対応に切り替え、
最大6バックで跳ね返しに専念することで得点直後の10分間を凌ぐと、
最前線でしっかりボールを追える呉屋(と品田)を投入し
「引き篭もるわけではないぞ」というメッセージを植え付けつつ
右サイドに回っていたイサカを最終ラインに固定することで
最大6バックの許容から5バックに変更。
5-4-1とすることで6バック時に起きかけていた
徳島のアーリークロス祭りに対する制限も行い、
最終的には前と鳥海を最終ラインに投入して試合をクローズ。
徳島の選手交代も相まって「これは逃げ切り確定だわ」という空気をしっかり作り、
そして為してみせた。
試合直後の小林慶行監督のインタビュー改めスピーチも素晴らしかったし、
J1昇格決定セレモニーでの選手を代表しての挨拶に
「事前に聞かされてなかった」最年長且つ在籍最長の米倉を指名する流れも完璧。
準決勝で0-3をひっくり返して勝ち進んできたことも含めての
劇的なドラマだったね。
それぞれの立場で千葉に携わる皆さん、おめでとう。
徳島。
勝利以外に昇格の道は無いというレギュレーションの中、
それでも変に焦ることなくサッカーをして上回れるのであればそれで良し、
スコアレスで推移すれば後半半ば辺りから攻勢に転じるプランが用意されていたのだと思う。
実際、千葉によるビルドアップ対策にも慌てず騒がずで
やり直しながら行けるところから行こうという雰囲気でやれていたし、
千葉のサイド攻撃を凌いでのカウンターも繰り出せていた。
また、千葉のところで書いた徳島WBと千葉の守備の駆け引きのところでも上手く上回って
サイドに流れた渡、バルセロスから好機を作れたりもしていた。
(ひとつだけ思ったのは、渡とバルセロスの左右を入れ替えることは出来なかったかな?ということ。
渡とバルセロスでは突破力でバルセロスだし、
対峙する千葉CBの、横の揺さぶりや対ドリブラーという部分においては
河野よりも鈴木大輔の方が劣るように思われるので)
守り方にも工夫が見られて、
高い位置ではエウシーニョとバルセロスをそれぞれ落としての4-4-2化で
千葉のビルドアップに制限をかけようとしていたし、
自陣では5-4-1で構えたり5-2-3で我慢したりすることで
互いのサッカーの志向上、攻撃回数で上回る千葉に対しての駆け引きをしていた。
徳島にとって悔やまれるのは、渡の負傷交代だと思う。
…と言うか、色々書いてきたけど、この試合はこれに尽きるんじゃないかな。
周囲に対して身振り手振りを交えながら言葉を投げかけ、
見るからにピッチ内での精神的支柱だった彼を、
意図しない形でピッチから失ってしまったのはダメージが大きかったと思うし、
戦い方という面でも、
先制を許して2点が必要になるという状況の変化に対し、
前線で体を張れる彼が不在なことで
起点作りやハイクロスでの勝負で駒を欠くことになったのは厳しかった。
もう一度、違う世界線でこの試合を観ることが出来るとするならば、
彼が健在の状態でスコアレスのまま65分辺りを迎える展開が観たいなぁ。
徳島がどういうやり方で主体的に均衡を崩しにかかる予定だったのかが気になる。
ほんのわずかなところで昇格を逃してしまった、
徳島に携わる人々に対しては何の慰めにもならない言葉だけど、
素晴らしい試合をしてくれたことは間違いない。
menu>football>match