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福島 4−1 讃岐
J3/第9節
(20/08/09:とうほう)
DAZN



福島

田村____イスマイラ____橋本陸
_____吉永____池田_____
________橋本拓_______
吉田___宇佐美__雪江____前田
_____ファンティーニ______



讃岐スタメン

_______林__栗田______
森川______________重松
______岩本__長谷川_____
杉山____竹内__ホヨン___柳田
________清水________



ボールと人がテンポ良く動き、しかしバランスは崩さない福島が、
攻守に無策の讃岐を相手に完璧な試合を見せた。
第1節以来の勝利だという福島だが、
これをきっかけに出来なければ今季は浮上できない、と言い切って良い内容。



福島。
スタートの形は、一応、上図のような4−3−3。

セット守備の際には両WGが列を下げての4−1−4−1となり、
讃岐のCB→DHのパスはある程度許容しながらも、
DHに入ったところでSH化したWGとIHで素早く挟み込み、良い形での前進を阻害。
中盤での圧力は中央でもサイドでも強く、
また、奪ってからの最初のパスの捌きも見事で、
度々ショートカウンターを発動させていた。

最後尾からのビルドアップは
橋本拓が2CB間に降りての3枚か、
橋本拓(状況により池田もこの役割をこなしていた)が中盤の底に留まる「2+1」を
讃岐のセット状況を見ながら使い分けており、
いずれの場合も両SBが高い位置にまで進出した状態でスタート。

イスマイラ、橋本拓、宇佐美、雪江、4人のみ動いてよいレーンと列が制限されていて
残りのFP6人はレーンと列を自在に動きながらパスコースを創出。
テンポ良くボールを動かして
讃岐守備陣に奪いどころを定めさせないようにしながら、
同時に前線へ飛び出していく自チームの選手を捕まえづらくし、
勝負の局面でイスマイラ、田村らが能力の高さを発揮した。

自分たちのCKからの流れというわけではなく、
インプレーの中において、
右SBの前田が左ペナ角付近で左SBの吉田と短くパス交換……なんて場面も
時折見られるほどの自在な動き。

それでいて列やレーンが被るようなことはなく、
サイドで数的優位(3対2、4対3)を上手に作り出していて、
これがそのままネガトラの強さにも作用していた。

何で前節までで1勝しか出来ていなくて15位に沈んでいるの?(苦笑)
この試合で見せたサッカーをずっと披露出来ていたら、
100得点して優勝だと思う。
(まぁ、何かしらの要因で出来ていないからこそ沈んでいたのだろうけど)

雪江がCBをやっていて驚いた。
昨季、前線〜中盤でいい動きをしていた印象があったので。

田村と池田はすぐにでも個人昇格していいと思う。






讃岐。
攻守に策が見えず、チームとして漫然と90分を過ごしてしまった。

林と栗田の2トップで試合を始めるも、地上戦を志向。
ある程度の形や狙い定めた相手のウィークがあるのならば
選択肢として地上戦でも構わないのだけど、
そういったものはまったく見られず、
特に前半の殆どの時間は前進することもままならなかった。
テンポ良くボールを動かそうとする岩本、
一瞬だけ溜めてから縦パスを入れたりウラに出してFWを走らせたりという長谷川の2人は
窒息させられそうになりながらも抗っていたが、
いずれも個人レベルのそれ。
岩本は周囲の動きの連動が得られず
(これを得られるようにするのが彼の伸びしろだとは思うが、
 1年目のシーズンの第9節でそれを求めるのは酷だとの思いの方が強い)
チーム全体の、相手選手との距離が近い中での技術面の問題も感じさせたし、
長谷川の意図は受け手には伝わっていたけれど、
それに続く「3人目の動き」は現れずに、良い崩しにまでは至らなかった。
こうして、前進にすら苦しむ中でDH2人が打開策を見出そうとしているのに
周囲が連動出来ていないというのは、
単純に周囲の選手のレベル、気付きの問題でもあるし、
良いTRが出来ていないのではという疑問に当然繋がるし、
TRはもちろんウォーターブレイクやHTにおいてもベンチがサポート出来ていないことの証左と言えよう。
また、林と栗田の2トップで始めているのだから、
地上戦で上手く行かないのであればロングボールで中盤を飛ばしても良かっただろう。
しかも、相手の右CB雪江は体の強さとスピードはあれども、身長174cmだ。
林は183cmで栗田は180cmある。
このチームは地上戦で行くんだというポリシーがあるわけでもないのに……
(第5節から第7節までは「まずはFWに当てる」を意識してサッカーしてたよね)

守備面。
福島の攻撃のクオリティを考えれば、
なかなか奪いどころを定められずに押し込まれる時間が長くなるのはやむなしかな、とは思う。
が。
前半のウォーターブレイクまでに福島のやり方は明確になっていたのだから、
締めどころは設定出来るんじゃないかと思うんだよね。
「パスは繋がれる。振り回される。だけど、最後、ボックスの中だけはやらせない」みたいな。
果たして、
前半のウォーターブレイクが明け、
HTが明け、
どうだったか。
試合の立ち上がりからやられそうと感じていた、
もっと言うとこれまでの試合でも繰り返されていた、
「ペナ角付近での仕掛け」と「中央でのドリブルでの突っかけ」で及び腰になるパターンが出て、
見事に失点に直結していたよね…。
まったく締められなかった。
(唯一、清水が何点も防いでいたけど)
正直、先制点を許す前から、
「頑張りに頑張った上に清水が何点か止めて引き分けに持ち込む」絵ですら
想像することが出来なかったけど、
前半でハットトリックされるとまでは思わなかった…。
HTにおける監督の指示として放送席に届いた
「前からの守備が出来てなかったからそれを意識していこう」(要旨)というのも
きちんと守り方が仕込まれているのならわかるのだけど、
前節までを観るにそれは期待出来ず、この試合でも案の定だった。

うーん。
「望月監督は目の前の勝負のための仕込みも出来るけど
 選手の成長を促すためにあえて仕込んでいない」と
思っていた、思っていたかったけれど、
この考えは翻さないといけないかな…と感じています。
また、これまでのキャリアから、
「勝負師タイプと言うよりは指導者タイプかな」とも考えていたのですが、
その部分もちょっと怪しくなってきた気がします…。

(自分は公開されたダイジェストでしか確認出来ていないので
 Twitterを見る限りでは、という話なのですが)
TMでは出来ていたという、
「前から奪いに行って奪ったら速やかに前へ」
「丁寧な繋ぎでサイドに持ち出してからのボックス侵入」
が、こんなにも表現出来なくなっているのは何でなんだろう。
相手があることで対策もされるだろうけれど、
そもそも表現しようという狙いがあまり感じられないんだよなぁ…。




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