menu＞football＞match
愛媛 ３－２ 讃岐
Ｊ３／第24節
（23/08/26：ニンジニア）
DAZN
愛媛スタメン
＿＿＿＿＿＿＿＿松田＿＿＿＿＿＿＿＿
茂木＿＿＿＿＿＿石浦＿＿＿＿＿曽根田
＿＿＿＿＿＿谷本＿＿深澤＿＿＿＿＿＿
前野＿＿＿＿小川＿＿森下＿＿＿＿木村
＿＿＿＿＿＿＿＿＿辻＿＿＿＿＿＿＿＿
讃岐スタメン
＿＿＿＿＿＿＿＿赤星＿＿＿＿＿＿＿＿
吉田＿＿＿＿＿＿後藤＿＿＿＿＿＿＿森
＿＿＿＿＿＿竹村＿＿江口＿＿＿＿＿＿
奥田＿＿＿奈良坂＿＿宗近＿＿＿＿川﨑
＿＿＿＿＿＿＿＿今村＿＿＿＿＿＿＿＿
ベンチのミスを取り返しつつの逆転劇で
混沌のＪ３を抜け出しつつあるチームであることを示した愛媛と、
ベンチのミスをカバーする余力が無かった讃岐。
愛媛。
左利きの森下を右CBに配するというスタメンの段階でのミスがあり
……という書き始めでいこうと思って。
念のために愛媛FCの公式サイトで森下について確認したら、
利き足は右となっていた。
え？
じゃあ何であんなに（右CBなのに）左足でボール扱っていて、
しかも圧力を受けて右SBの木村へボールをどうにか逃がす右足のパスが
あんなに恐る恐るのものになっていたんだ…？
わ、わからない（苦笑）
とにかく。
（讃岐の後藤の守り方の上手さもあったにせよ）
森下が大きなブレーキとなってしまい、
前半は攻撃を左サイドにばかり頼ることとなってしまった。
（森下は２失点目にも直接絡んでしまい散々だったね…）
前野、茂木、谷本のコンビネーションに
石浦も積極的に加勢しての左サイドはスムーズで、
攻撃が左サイドに偏る＝讃岐も十分に警戒が出来る状況にあっても
前半のうちに１点をもぎ取るだけのものがあった。
試合開始前の激しい雨を受けてのキックオフ時のエンド交換に見られたように、
後半に勝負を賭けるのはプラン通りだったと思うんだけど、
そのための修正として森下を大城に代えたことは大いに効いていた。
大城は至って普通にボールを木村、深澤に預けることが出来ていたし、
大城のこの仕事ぶりにより、
前半、時折偽SBの振る舞いをしていた（これも全然機能してなかった）木村も幅取りに専念。
良いタイミングで右に流れていたダンカンと共に
讃岐のブロックを左右に広げることに貢献していたと思う。
（ダンカンについては「中でハイクロスを待つのが役割では？」とも思うのだけど、
結果としてはいい方向に作用していた）
フォーメーションが４－４－２になったことで
トップ下（石浦）の加勢は得られなくなったものの、
右サイドが機能することになった＝讃岐のブロックが広がった＝ので
前半よりは圧力を受けなくなった茂木も十分に機能。
左右のサイドアタックから
最後の崩しはピッチ状況がクリーンなバイタルを使っての攻撃で
シュートで完結する際のゴールへの期待度は前半以上だったし、
先手先手の選手交代でオープンになって行った試合展開でも
前に出ていく力強さを保ち続けていた。
後半のベンチワークとそれに応えた選手たちは見事だったと思う。
０－２のビハインドをひっくり返してのこの勝利は、
混沌のＪ３から抜け出しつつあることを示したものだと言えるでしょう。
讃岐。
１失点はしたものの、前半はとてもいい試合が出来ていたと思う。
自陣での相手のリスタートの際にラインを高く保ちたがる愛媛の傾向を突いた先制点、
前から奪いに行く意識が活きて相手のミスを活かしての２点目。
赤星、後藤で相手の中央前進を阻みながらの４－４ブロックも及第点だと感じる。
問題は、後半のベンチワーク。
立ち上がりから愛媛が圧力を強めて来ていたこと。
大城の登場で前半ほどに前から奪えない／前進の質を削げないことが
60分の段階で明らかになっていたこと。
同様に、オープンな展開になる兆候として
中盤でドリブルによるボール運びを幾度も許すほどに
スペースが生まれ始めていたこと。
ピッチ内の選手がいっぱいいっぱいになっていたのは
この試合を見ていた誰もが感じたのではなかろうか。
試合展開から考えても「同点を許したら押し返せない」のは間違いない中で、
同点にされるまで選手交代も守り方を変える指示も無かったのは何故なのか。
谷本の逆転ゴールはスーペルなものだったけど、
あのゴールが生まれかねない状況を作ってしまったのは、
同点にされたという事実だ。
そうならないように、
ベンチから助けることは出来たと思うのだけど…。
また、愛媛の逆転ゴールから再開のキックオフ時に行われた交代が
川西の投入というのも疑問符がつく。
自分たちが攻め込む側のバイタルエリアが雨をたっぷり含んでボールが止まることは
川西投入時の86分までで嫌というほどわかっていたハズなのに
（前半のうちに奥田が止まるボールの処理を誤って二度の危険なミスもしている）
足元の技術が特徴の川西を投入するというのは…。
ましてや、ベンチに長身FWの森本が残っているのに、である。
森本を投入、赤星と同時起用となった際の役割分担も、
理に適っているとは言い難い。
Football LABが割り出している「2023 J3 敵陣空中戦」の数字を見て欲しい。
https://www.football-lab.jp/summary/player_parameter/j3/?year=2023&data=8
「赤星の方が森本よりハイボールで勝ってくれる」
「赤星は森本よりも空間認知能力が優れている」
という旨のことを何度かツイートしているが、
実際に数字で見てみても、
「自陣から最前線へのハイボールを競らせるなら森本よりも赤星」だ。
ところが、これまでの数少ない赤星と森本の同時起用でも、
そしてこの試合で森本が投入された88分以降も、
二人の役割分担は「森本が競って赤星は裏狙い」だ。
（付け加えると、これは数字を探せなくて印象でしかないのだけど、
自陣からのハイボールを相手CBと競った時により多くファウルをしているのは森本だ。
前節終了時点で赤星＝22試合：1242分、森本＝19試合：914分という記録から考えても
赤星の方がより多く同じプレーをしているであろうにも関わらず、である）
（一応、念のために付記するけど、これをもって赤星＞森本としたいわけじゃないですよ？
自陣からのハイボールを競らせるなら赤星でしょ？ということを言いたいわけです）
この役割分担は、適切と言えるのだろうか？
愛媛が後半に良い修正をして、
強いメンタルと一定の質を示したのは間違いないけど、
それでも、
常識的と言うか、妥当と言うか、当たり前と言うか、
そういう采配でベンチからの手助けがあれば、
かなりの確率で逃げ切れた後半だったように思う。
普段、この雑感を書くまでは
監督と選手の試合後コメントを読まないようにしてるんですけど、
この試合では書くことが自分の中で決まり切っていたので、
先に読みました。
米山監督には選手交代のタイミング、人選とその意図について聞いて欲しかったな…。
それから、米山監督、赤星、吉田と口を揃えて
「前半で１失点を喫してしまった（のがマズかった）」ことに言及していて、
チームとして認識が共有出来ているという点ではいいことなんだけど、
「ハーフタイムという立て直す時間があったのに何してたの？」
という疑問が出てくる。
無失点でしのいでいれば後半の入りが違っていたのはその通りでしょう。
でも、現実として１点失ったわけですよ。
それを受けてどうするのか、
考えて共有する時間が15分もあったじゃないですか。
にも関わらずの、３人のこのコメントは……。
特に米山監督に対しては
「ハーフタイムで後半について提示出来ないのだから
そりゃ流れていく試合の中で適切な対応が出来ないか」
という評価に繋がってしまいますよ…。
きちんと段階を踏みながら守備にシフトして成功した試合もあるのだから、
出来ないわけではないと思うんですよね。
現在首位の相手に圧力を感じてしまったのか、
スタメンでもう１点取れるだろうみたいな読みがあったのか
（65分までに後藤と赤星に１つずつ惜しいシーンは確かにあったが…）
理由はわからないですけど、
３週前の第21節・相模原戦で同じような「ベンチの動きが遅い」ことで
勝点を失っているというシーズンの流れを考えると、
この試合で動かなかった（動けなかった）ことによりもたらされた結果に対する落胆は、
より大きなものになってしまいますね…。
シーズンの流れということで言えば、
前節、ホームで大型集客企画を成功させての勝利という
最高のシナリオを描いた直後に、
その勢いを削ぐ結果となってしまったのも
ダメージが大きい。
これを払拭して盛り返しに持っていくのは容易ではないけど、
サッカーの質を見れば
コーチとしての米山篤志は一定以上のレベルにあるのは間違いないので、
監督としての米山篤志も一定以上であると示すため、頑張って欲しいです。
シーズンの残り試合において、
「動かないことで勝点を落とした（と見えてしまう）」試合は、
ノーモアです。
menu＞football＞match