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讃岐 3-2 群馬
J3/第25節
(25/08/31:Pikara)
DAZN
讃岐スタメン
______大野__川西______
牧山______________道丸
_____長谷川__河上______
上野____附木__井林____内田
________飯田________
群馬スタメン
________河田________
____風間______西村____
田中____瀬畠__安達____小西
____高橋__大畑__小柳____
________近藤________
プレッシングからの速い攻撃で2点を先制した讃岐に対して
HTを待たずに3枚替えを敢行し反撃を試みた群馬。
後半は群馬が終始ペースを握るも、讃岐がどうにか逃げ切りに成功した。
讃岐。
琉球を指揮していた時に残した数字や印象から
「攻撃的」と一言で括られがちな金監督のサッカーの本質が
「縦に速く」「前にいる味方をどんどん追い越していく」ということにあるのが
よくわかる試合となった。
(その意味で、後半の自陣に押し込められた展開は必ずしもネガティブではない)
(奪った後に効果的に前に出ていけなかったことこそがネガティブ=まだまだ伸びしろがあるということだ)
前半に見せていた(そして効果があった)守り方とベンチメンバーを見るに、
群馬の組み立て方は分析できていて、
それに対する有効な守り方、攻め方というのも金監督の中には描けていたように感じる。
まずは守り方について。
群馬のビルドアップ~攻撃の特徴として、
左HVの高橋を前に押し出して最後尾は大畑と小柳、そしてGK近藤での保持からスタート。
ここで相手の出方を伺いながら、極力左から前進し、
高橋、田中、瀬畠、風間で仕掛けながら
最終的には高橋ないし田中の大外クロスorポケットからの折り返しに繋げたいという意図が
明確に見えていた。
高橋を加えることで数的優位を保っての群馬の攻撃に対し、
讃岐の考え方として、
中央で跳ね返す能力は高いが俊敏性には難がある右CBの井林を、
なるべく中央に残しておきたい
つまり、数的優位を活かした群馬の左サイド(讃岐の右サイド)の崩しに
彼が引っ張り出される事態は避けたい
…というものがあったと思う。
これを踏まえた上で、金監督が二段階で守り方を授けていたように感じた。
第一段階として、左CB大畑に対する守り方。
川西が中央へのパスコースを消しながら、
しかし強く奪いに行くわけではない距離感を保ちながら大畑を見張り、
同時に、大畑がパスを供給したい田中、高橋、瀬畠に対して
田中は道丸が捕まえ、
高橋と瀬畠は二人の中間に立つことで河上が同時に見張ることで、
大畑から始まる群馬左サイドのクリーンな前進を見事に阻害していた。
讃岐の守り方を受けた群馬は、それでも左サイドからの攻撃を重視。
クリーンに運べなくても、パスが奪われた瞬間に数的優位を活かして奪い返せばいいとばかりに、
高橋の位置を更に上げ、ミドルサード出口付近に田中、高橋、風間(時に流れてきた河田までも)を密集させ、
そこへ強引にパスを差し込むようになってきた。
こうされてしまうと河上一人で二人を見張れる余地は無く、
狭いスペースながら群馬に数的優位を許すことになってしまう。
この流れを受けて、用意していた守備の第二段階が発動する。
群馬が左サイド前目で作る数的優位に対抗すべく、
長谷川も本来の守備位置から寄っていって守備に加勢する。
こうなると、安達、西村が浮きやすくなるので
彼らにパスを逃されると厄介な展開へ繋がっていくのだが、
これを解決する役割を負っていたのが左SHで起用されていた牧山。
群馬左サイドでの局面が多かったため、
若干中央をケアしつつも基本的には小西を見張る役割だった彼が、
「第3のボランチ」として小西への注意を最低レベルにまで引き下げて
長谷川の本来の守備位置のケアに重点を置くことで
安達、西村が浮くことを許さず、
左サイドで強引に前進した群馬が自ら作った密集からボールを逃がし
中央でフィニッシュへと繋げることを阻んだ。
前半のうちの3枚替えという「テコ入れ」で攻撃の軸を右WBに投入した下川へと変更するまでの群馬への対策は
きちんと練られた跡が伺えたし、
選手たちもよく策を実行してくれていたと言える。
(また、策とは無関係の個人能力の話だが、
最終的に群馬のコンビネーションが上回り田中ないし高橋がクロスを上げることが可能な場面になった時も、
抜群の対応でそれを許さなかった内田の守備は大いに称賛されて良いと思う)
ところで。
サッカーにおいて片方のチームが特定のサイドに常に人数をかけていた場合、
その逆サイドに広大なスペースが生まれるというのは
戦術がどうのという話をするような人の中では常識である。
この試合の前半のように、群馬が左サイドに人数をかけて押し込んで来た場合は、
群馬の右サイド(讃岐の左サイド)が基本的にはがら空きになり、
ボールを奪った後カウンターに出ていく際の狙い目となるのはこのスペースとなる。
結果としてそうした場面は無かったと言っても良いが
(いや、群馬の意識と人数が左サイドに寄っていたという意味では1点目の場面が該当すると言っても良いか)
このスペースを突いてカウンターを仕掛けるということを考えると、
左SBの上野の、スプリントを伴う上下動が増えることが十分に予想される。
ここでベンチメンバーを見てみると、
ここ数試合の構成からはアタッカーが1枚削られて、
SBを担える藤井が数試合ぶりに名を連ねている。
これは、上野が走りまくることで疲労し、交代せざるを得ない状況を見越してのことではなかろうか。
群馬の組み立て方は分析できていて、
それに対する有効な守り方、攻め方というのも金監督の中には描けていたように感じる。
群馬の「テコ入れ」以降については、
有効な守り方、攻め方が出来ていたとは思わないけど、
群馬が攻勢の起点としていた右サイド(讃岐の左サイド)に
牧山に代えてエドゥアルドを投入した金采配には
「このサイドを押し返すことで攻勢守勢をひっくり返せ」という
明確なメッセージが込められており、
シーズンを通した勝点状況、目の前の試合の流れのどちらから見ても、
根本的な思考にはブレが無いことが再確認出来たのは良かった。
個人についてあまりネガティブなことを書かないようにはしてるんだけど、
この試合の岩岸はちょっと低調だったね。
2失点目は彼の守備に対する姿勢がだいぶ影響したと思うし、
(あれが続くようではもうSH起用は超スクランブルでもない限り出来ない)
シュートを打つ場面でも力みがあったと言うか。
過去2シーズンと比べてシーズン序盤から出番を得ているにも関わらず
未だ無得点というのが気負いとか焦りに繋がっている印象。
どうにか乗り越えてくれ…!!
群馬。
攻撃面での特徴は讃岐のところで書いた通り。
左に偏った前進とチャンスメイク自体は悪くない(讃岐の対策が良かった)と思うし、
勝負(と怒り)の3枚替えによる「テコ入れ」をする胆力と、
そこから攻撃の起点を右WBに投入した下川に持って行き見事に機能させていたのは素晴らしい。
下川は、小西と比べてポジショニングが明らかに高く、
また、ボールが左サイドにある時にも少しも内側に絞らないでいたのは、
明確に指示されたものだっただろうね。
もう、右WBというよりは右WGだった。
下川投入後の安達の働きぶりも凄かった。
下川が下がってこないためにその後方で広範囲に動き回り、
下川が右ペナ角でボールを持てば膨らみながらその外側を追い越していく。
凄まじい運動量だ。
引き分けるか逆転するかしていたなら、
(実際には得点した選手の名前が挙がってしまうだろうけど)
MOMは彼だったと思う。
ところで。
左に偏った前進を第一選択肢としていることや
右シャドーでの起用を続けていることから、
西村にフィニッシャーとしての期待をかけているように見受けられるけど、
その役割、他に誰か託せる選手はいないのかな。
彼はもう少し幅広く動いて、ボールに触れて、チームが相手を押し込めばゴール前にも飛び込んで…という選手だと思う。
あとは、左からの前進にこだわるのはともかく、
最後尾保持の時点で中央レーンに人が集まり過ぎなのは気になった点。
特に瀬畠と安達の距離が近過ぎる上に段差もついておらず、
あれでは大畑も小柳も「一旦預けてリターンもらって、相手を小さく動かす」みたいなことも出来ないし、
守る側としては非常にラクであるように感じた。
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