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【カマタマーレ讃岐】「12/4(火)上村監督就任記者会見 全文」を考える。


サポーターから「既定路線」と目されていた、上村健一の監督就任(ヘッドコーチからの昇格)。
実際にその人事がなされたわけですが、
上村新監督及び西村コーチ(リリースがまだ無いのですが強化部に入る模様)の2人は
シーズン最終盤の2試合でベンチから外れており、謹慎報道まで出ていました。

外部から見れば「問題を起こした存在」である上村ヘッドコーチが新監督となるという人事は
常識に照らせばちょっと考え難いもの。
(讃岐サポーターからすれば、その常識を呑み込んで「他に選択肢が無い」となるわけですが…)

2018年シーズン(の、特に最終盤)に何が起きていたのか。

当事者である上村健一新監督の口から語られていますので、
謹慎問題以外の要素と共に、
記者会見の中から気になる部分を考えたいと思います。



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この記事は「12/4(火)上村監督就任記者会見 全文」をもとに、
記者会見で語られた内容がすべて事実であるという前提で書いております。

記者会見の内容からピックアップすべき部分を茶色で示し、
それについて自分の見解を記しています。
茶色の文字は、必ずしもそのまま川村社長、上村新監督の発言ではなく、
要約したものになっていることもありますので
予め御了承ください。


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冒頭の、川村社長の挨拶。
今季最終節後に行われたセレモニーでの挨拶に対して聞かれた
「棒読み」「テンプレ」がここでも聞かれそうですけど、
(妥当の範疇だとは思うけど)不甲斐ない成績に終わったクラブの社長が、
ここで個性豊かな言い回しを見せたところで、
それはそれで不評を買うのがオチ。
粛々と、テンプレで臨むのが正解ではないでしょうか。

「相手に対して一番いい戦い方を選択する」。
これは、北野前監督のもとで長く仕事をしたことで根付いた考え方でしょうね。
大枠で継承と言えるもので、内部昇格の意味を感じられる部分。

「やりたいこと、やれること、やらなければならないこと」。
後述する、困惑する選手たちへの指示という部分にも影響する考え方だと思う。
讃岐が北野前監督のもとで行ってきた「相手に対して一番いい戦い方を選択する」中で、
選択するための基準と選択肢をより細かく設定する……という印象。
(北野前監督がそれらをどの程度持っていたかわからないが、
 上村新監督が自分の考えとして口にするからには、
 この部分は前監督よりも押し進めていくのだと思われる)

「今季はベースになるものが無かった」。
これは言えると思う。
ベースを構築出来なかった要素として挙げたものも、それぞれその通りだと感じる。
上手くいかないシーズンって、得てしてそういうものですよね…。

「攻撃的なサッカーがしたい」。
「いい攻撃が出来ればボールを失うポイントも限定出来る」。
「(今季)ボールを奪われた後に人数をかけてボールを奪ったシーンが何回あったか」。
「手段は状況次第だけど基本的には人数をかけて相手陣地に押し込むサッカーがしたい」というのが伺えますね。

「客観的に見てクラブの今の体力でグラウンドができるというのは難しいと思う」。
「僕は現場の人間としてそれにどうこう言うわけではなく」。
讃岐で仕事をする中で、環境面についてきちんと状況が把握出来ている。
これも内部昇格の意味がある部分。
ただ、幾らかの諦め(と、それに伴う覚悟)も感じられる。
北野前監督の訴えが実らなかったのを間近に見てるからでしょうね…。

「心が動かされるようなチームになれば応援していただける」
「一気に変わらないと思うが少しずつ」
この辺りも、必要なものと現実とが視えていて好印象。

「コーチングスタッフについて」
西村コーチが強化部に入るようなので、2人、招き入れることになるんだよね?
ここの人選は非常に大事だと思う。
上村新監督の口ぶりだと自分でオファーを出しているようだが、果たして…。
「お友だち」でも困るけど、讃岐の貧弱な環境でも仕事が出来る人でないと困るわけで。

「やり方の選択で、結果論でしかない」
取材する側が前監督と比べる、比べてのコメントを求めるというのはわからんでもないのだけど、
上村新監督のこの言葉に尽きると思う。
誰の目にも明らかにおかしい事象であれば……
会見での言葉を借りれば我那覇にSBやらせたり福家にDHやらせたりしていれば、
こういう場でも言及されるだろうけど、
北野前監督は、そうではなかったからね。
上村新監督とすれば、それでも選手起用や戦い方に思うところがあったと思うけど
(サポーターですらそれはあるからね)
ここでの受け答えは、正解で真理だと思います。

「監督としてやりたいこと」
「上村カラー」
「サポーターへのメッセージ」
選手たちが、(なるべく早く)しっかりとピッチ上で表現してくれることを
期待しています。


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謹慎問題とされたことについて
(※本項では役職は当時のもので記します)
○10月30日○
練習前に北野監督が川村社長、小川統括部長に辞意を伝える。
川村社長、小川統括部長は役員などを交えながら次期監督の人選を進める。

○11月2日○
クラブから上村ヘッドコーチへ監督就任の打診

○11月3日○
北野監督、川村社長、小川統括部長が話し合いの場を設ける。
ここで北野監督の辞任をクラブが正式に受け入れた。
同時に、川村社長、小川統括部長から北野監督に今後の編成案を提示。
北野監督はこれに激昂、その場を立ち去る。
(編成案を提示したことに激昂したのか、編成案の内容に激昂したのかは不明)

○11月4日○
ホームでの栃木戦。
試合前から北野監督と上村ヘッドコーチの間に意思疎通は無く、
敗戦後の話し合いの中では中島健太 統括部強化担当(11月18日付けで契約解除)より
上村ヘッドコーチに「誰と戦っているんだ」との言葉。
また、謹慎問題とされた自宅待機に繋がる不適切発言とされる言葉が、
ここで上村ヘッドコーチから語られていた。
(不適切発言とされた言葉についてはクラブから明確な指摘は無いようで、
 上村ヘッドコーチの推察となっている)

○11月5日○
試合翌日ということでチームはリカバリーの日。
この日の打ち合わせ段階で、
「もう選手と話をするな」との言葉が上村ヘッドコーチ、西村コーチにかけられ、
両コーチはリカバリーには不参加。

○11月6日○
クラブから上村ヘッドコーチ、西村コーチに2週間の自宅待機を命ずる電話。
両コーチはこれに従い、シーズンの残り期間はチームに帯同せず。

○上村ヘッドコーチの認識、思い○
・不適切発言とされたであろう言葉に覚えがある(会見で説明)
・自宅待機を謹慎だとは認識していなかった
・クラブが発信していない謹慎という言葉がどこから出たのか、疑問
・不適切発言とされた言葉、選手への指示については
 自分の立場でチームのためにしたことである
・選手への指示について、
 北野監督の下でやるコーチとして自分のやり方以外に正しい方法があったのかも知れない
・自信を持って、自分が監督になるために動いたなんてことは無いと言える

○川村社長の判断、認識○
・残り2試合、現場を任せている北野監督が思うように采配を振るうために
 上村ヘッドコーチ、西村コーチの自宅待機を決断
・上村ヘッドコーチ、西村コーチの自宅待機については
 (小川統括部長経由で届いた)北野監督の要請である
・この会見で上村ヘッドコーチから初めて聞く話もある
・シーズン中に北野監督の解任に踏み切らなかったことについて、
 明確な理由は無い
・地元出身で功労者である北野監督には有終の美を飾って欲しかった
・社長就任前からカマタマーレ讃岐に関わる中で、北野監督は優秀であると認識していた
・長期政権ということもあり、北野監督が勇退する可能性は考えていた。
 その際の後任として上村ヘッドコーチを意識していた
・北野監督が今季も指揮を執ることになった練習場問題の進捗については
 自分は関与していない



以下、これらを受けての自分の見解です。

○わかったこと
・謹慎(とされたこと)までの流れ
・上村ヘッドコーチの人柄
・川村社長が北野監督を信頼、リスペクトしていたこと

○ちゃんとしろよ、と思ったこと
・単純な連絡、報告、打ち合わせ。
 川村社長が上村ヘッドコーチの言葉で「今、初めて聞いた」ことがあっては駄目でしょう
・北野監督と上村ヘッドコーチ、西村コーチとの意思疎通。
 ただし、これは長く一緒にやっていることと、チームが結果を出せていないこととが
 悪い方向に作用していたな、と思う。
・クラブの情報管理と記者との関係構築。
 上村ヘッドコーチと西村コーチがチームに帯同していないことは
 取材の中で質問されたのだと思うけど、
 その応対についてクラブで準備はしていたのか(していなかったのだろうな…)。
 また、クラブが発信していない「謹慎」という言葉を用いて記事を書かれてしまった(書かせてしまった)ことは、
 (煽る記事でPVを稼ぎたい等を除いて)
 クラブを見る記者の目が反映された結果である。
 記者となあなあになって丸め込めという話ではなく、
 記事の出され方というのは記者との関係性で変わるでしょ?ということです。

○わからないこと
・北野監督に、北野監督退任後の編成案を提示したこと。
 ドライな言い方をするけど、契約が終わる人間に対してクラブの今後の案を提示する理由は無い。
 北野監督だって「退任しますけど、今後どうするんですか?」とは聞かないでしょ。
 (聞かれても出しちゃいかんし)
 何でこんなことをしたのか。
・北野監督が激昂した理由。
 今後の編成案を提示されたことに対してなのか、その内容に対してなのか。
 その後の上村ヘッドコーチへの接し方から考えるに、おそらく後者だと思うのだけど…。
 川村社長は、会見中の言葉から考えても、
 おそらく上村ヘッドコーチの監督昇格を示したのだと思う。
 しかし、サポーターですら既定路線と思って疑うことのなかったこの人事で、
 北野監督が激昂したり上村ヘッドコーチへの接し方がツラくなったりするとは思い難いんだよなぁ…。
 このツイートにある「この数ヶ月の出来事」の蓄積で、爆発したのだろうか…。

○その他
・選手への、上村ヘッドコーチの指示については、妥当だと思う。
 北野監督の指示する「Aという場面ではAという対応をしろ」の補足に過ぎず、
 越権行為、選手を自分の方に向かせるような行為ではないでしょう。
・少なくとも上村監督は、本気で1年でのJ2復帰を掲げて勝負する腹積もりみたいですね
・川村社長は、もうちょっと上手い言い回しを覚えて欲しい。
 北野監督が今季も指揮を執るようにクラブが環境整備の話を持ち出したという件について、
 この会見で答えた内容が真実なのだろうけど、
 あの回答では責任放棄と解釈する人たちが出てきてしまう。
 「前社長がそういう話をしたと聞いている。
  現社長として、それに振り回されてしまった人たちに申し訳なく思っている」
 みたいなのが、今の立場で求められる答え方だと思う。



○総括
北野監督と上村ヘッドコーチ、西村コーチの間に起きたことは、
どんなチームであっても時折起こる、不幸な出来事だったと思う。
回避出来ることもあっただろうし、
今回のような結末になることもあるだろう。

結末に加えて、
北野監督が功労者であること、
報道が先んじた上に謹慎という強い言葉が使われたこと…等々が重なって、
こういった騒ぎに発展したと言える。

讃岐サポにも、そうでない人たちにも、
かなりネガティブな印象を植え付ける事態になりはしたけど、
今回、上村ヘッドコーチが会見で詳細を語ったことは、
逆にポジティブに捉えられるんじゃないか、と、自分は考えている。

会見を通じてわかった問題点を、ひとつひとつ改善していけば良いのだから。



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